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途端に、春子が自分の左薬指を見た。
その行動があまりにも可笑しくて、可愛くて、思わず
「ははっ」
と声に出して笑ってしまった。
思い切り誤解されている。
ていうか、本当に俺に対しての記憶が無いんだな。
「俺達結婚はしてないよ」
わざと含みのある言い方をした。
胸の奥がざわざわする。
春子はもう俺なんかと関わらない方がいい。
現に、俺のことを記憶から排除しているんだし。
でも、今の春子は俺のことを恋人だと思っている。
春子の両親も何故かそう信じ込んでいる。
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