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目覚めたばかりの春子は少し疲れたらしくて、再び眠ると言った。
気を遣わせないように外に出て、病院の敷地内にあるベンチで時間を潰した。
「ふーー。」
両腕をベンチにかけて、よく晴れた空を見上げる。
雀が2、3羽さえずりながら視界の遠くで横切っていった。
「ゆ…う…。」
コホ、と軽く咳払いをして、名前を呼ぶ練習をした。
先ほど少し話をして、春子のことを『優羽』と呼んだが、ものすごく違和感があった。
もっと自然に呼べるようにならないと。
「優羽……。」
……やっぱ呼びづらいな。
咄嗟に『春子』って呼んでしまいそうになる。
今度は前のめりになって、頭を抱えながら、
「優羽。」
って呼んでみた。
「……恥ず…。」
なんかバカみたいだ。
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