2732人が本棚に入れています
本棚に追加
春子が医者と話している最中だった。
立ち聞きするつもりはなかったが、足を止めている自分がいた。
「しかし、まあ、なんで走行中に車から飛び出そうとしたのかねぇ……。」
げ。
何言い出すんだ、この医者。
「……え?」
「あ、いや、思い出したくないから記憶を無くしたのかな。
今のは聞かんかったことにしておくれ。」
「はーー。」
中には聞こえないように深いため息をつく。
ドアの横で頭を抱えてしゃがみこんだ。
そこまで聞かされて気にならないやつなんかいないだろ。
「先生、私思い出したいんです。
詳しく教えてください。」
最初のコメントを投稿しよう!