一週間(Ⅱ)

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春子が医者と話している最中だった。 立ち聞きするつもりはなかったが、足を止めている自分がいた。 「しかし、まあ、なんで走行中に車から飛び出そうとしたのかねぇ……。」 げ。 何言い出すんだ、この医者。 「……え?」 「あ、いや、思い出したくないから記憶を無くしたのかな。 今のは聞かんかったことにしておくれ。」 「はーー。」 中には聞こえないように深いため息をつく。 ドアの横で頭を抱えてしゃがみこんだ。 そこまで聞かされて気にならないやつなんかいないだろ。 「先生、私思い出したいんです。 詳しく教えてください。」
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