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「ん……。」
一瞬、起きたかと思って、バッと飛び退いた。
「つ……かさ、さ……。」
むにゃむにゃ言いながら、寝返りを打つ春子。
「……っ。」
後頭部を壁に擦りながら、片手で口を覆う。
鏡を見なくても分かる。
今の俺は、いつも赤面している春子よりも真っ赤だ。
どんな29だよ……。
「はーー。」
ソファへ戻り、前かがみにうなだれる。
チュンチュンと、雀の鳴く声。
なんだか自分の情けない姿が浮き彫りにされているみたいだ。
今日で春子が目覚めて4日目。
春子の前から消える覚悟はできているのに、それに反比例する衝動。
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