水面下の糸

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カツカツカツカツカ……。 「おはよ。白川さん。」 「おはようございます。」 朝。 1階受付。 最近ギリギリの時間に出社する司さんに挨拶する。 「ねー、なんか司さん沙耶にばっかり挨拶するよね。 私達のことなんかスルーで。」 受付仲間の2人がぼやく。 「そんなことないと思うけど。」 「ホント沙耶ってば、彼氏は大倉さんだし、司さんとは親しく話せるし、……うらやましー……。」 じとーっと私を睨む。 「だってあの二人、超絵になるもん。 司さんてば、背も高くてスタイルモデル並だし、クールだからこそたまに笑ってる顔がすごい素敵だし、あの緩いパーマの髪の無造作感も女心くすぐるし、それになんかいい匂いするし。 大倉さんは大倉さんで、色素薄くて超綺麗な顔してるし、みんなに笑顔で優しいし、お話面白いし。 あー、もう、たまにその間で歩いてる沙耶見ると刺したくなるわ。」
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