克服

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「優羽、綺麗……」 体中にキスを降らせて、司さんが囁く。 「綺麗……。 ホントに綺麗だよ、優羽」 涙がこぼれた。 たくさん、たくさん綺麗だと言われて、本当に自分がそうであるように思えてくる。 愛しそうに私に触れる指が、唇が、私をとても高価なものにしていく。 「司さ……」 ぎゅっとつぶっていた目を開け、涙声で司さんの名前を呼ぶ。 司さんは、 「噛まないでね」 と、ふっと笑いながら私の口に指を忍ばせた。 男なのに色気のある司さんの低い声と息遣いにクラクラする。 訳も分からずにくわえさせられたその指を、結局私は噛むことになるんだけど、それを謝る間も無く、私は意識を手放した。  
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