2381人が本棚に入れています
本棚に追加
/30ページ
優羽の熱は上がっていたので、午前中の内に早退させた。
ここ最近頑固だった優羽だけれど、今日ばかりは簡単に折れた。
司さんに会えて、そしてつき合えることになって有頂天なんだろう。
「ありがとう、瑞希。
心配かけてホントごめんね」
帰り際、優羽は赤い鼻をこすりながら、笑顔でそう言った。
優羽は昨日の昼の出来事を知らない。
今までの一連の流れに対しての感謝と謝罪だ。
もしかしたら、単純に風邪を引いたことに対してで、あまり深い意味は無かったのかもしれない。
それでも私はそれを聞いて、なんだか姉役を降りたような、少し寂しい気持ちになった。
「ほら、お母さん車のとこで待ってるよ。
早く行かなきゃ。
風邪も完治して落ち着いたら司さんに会わせてね。
いろいろ言いたいことあるから」
優羽は肩をすぼめてフフッと笑い、小走りで迎えに来た母親の方へ駆けていった。
最初のコメントを投稿しよう!