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――幸せそうだこと。
純粋にそう思った。
寂しいけれど、あんなに嬉しそうな優羽の顔を見るのは本当に久しぶりで、安堵感が胸いっぱいに広がる。
「あ」
時計を見るともう昼休憩の時間だった。
社員用の勝手口から、弁当を取りにロッカーへ向かう。
「優羽ちゃん、もしかして彼氏できたの?」
こいつは本当にいつもぬっと出てくる。
「そうみたいね。
東條もこれでやっと優羽への気持ちを絶ち切れるね」
「だーかーらっ、既に絶ち切ってるって!
何回言わせるんだよ」
カツカツと歩く私の後ろを、両手とも両ポケットに突っこんだままついてくる東條。
「なんでついてくるの?」
「だって、ほら、優羽ちゃん帰っちゃっただろ。
お昼一緒する奴いないんじゃないかと思って」
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