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「あ、またこっち見た」
しばらく無言だった東條が再度口を開く。
「は？何？」
「通り過ぎていく奴らが、みんなこっち見る」
「こんな寒いのに外で弁当なんか食べてるからじゃない？」
「……おまえ」
はぁ～、と東條の大きなため息。
「佐山が美人だから見るんだろ、みんな」
「……」
何を急に言い出すのよ。
「ホント宝の持ち腐れ……」
と、ポツリと言って東條は弁当に箸を戻した。
またもや、素直にありがとうと言えない。
可愛げのない自分が本当に恨めしい。
可愛げないついでに、組んでいた足を組み返す。
「と……東條は」
「ん？」
「東條は優羽に振られてから、何もないの？」
思い切って、ずっと気になっていたことを聞く。
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