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「……」
「……」
「……優羽?」
司さんが少し腕の力を緩めて、私の名を呼ぶ。
ちゃんと夢から覚めたみたいだ。
肩を掴まれて、ゆっくり体を離される。
真正面で向き合う体勢になると、司さんは、
「起きたんだね、優羽」
と、ふっと笑いながら言った。
「行こっか?」
「……え?」
「あっちの部屋」
そう言い終わらないうちに司さんは私の体を持ち上げた。
わ。
お姫様抱っこ。
「司さんっ、あの……」
「うん」
司さんはその間もスタスタ足を進める。
「あ、の……」
キィ……。
半開きだった寝室のドアを足で開ける司さん。
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