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(なら、俺は願い続けるだけだ)
フッと久幸は笑い、他の招待客と同じように言葉を投げた。
「おめでとう、幸せに」
久幸の声に気付いた彼女は一瞬、驚いたような顔をしたが、次の瞬間には笑顔を久幸に向けた。
『ありがとう、波瀬くん』
(その笑顔が曇らないことをただ願おう)
愛していると言ってもおかしくはない彼女の幸せが、いつまでも続けば良いと久幸は思いながら彼女を見送った。
『…――綺麗だったな』
「あぁ」
『この後の披露宴のスピーチ大丈夫か?』
「あぁ」
『っ!!お前大丈夫かよ…』
「大丈夫、心配はいらない」
『だけどっ!!』
式を終えた教会から少し離れた披露宴会場へ向かう久幸の隣には久幸をよく知る友人の姿。
心配する友人の悲痛な顔を見て、久幸は苦笑を漏らした。
「ありがとう、雄大(ユウタ)。でも大丈夫だ。俺はアイツの『一番の親友』であることを選んだんだ」
そう言うと久幸は空を仰ぐ。
(あぁ、青いなぁ…そういえばアイツと出会った時もこんな青かったっけ――…)
気付けばそんなことを考えていた。
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