第2話

2/12
0人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
賭け試合の会場は既に人で溢れ、混雑していた。子供を売る商人らしい者、革鎧を身に付けた傭兵らしい者、鮮やかな洋服を身に付け、四、五人の護衛を付けた貴族など色々な人がいる。  突然、俺たちの前に一人の男が現れた。齢は三十半ばぐらいで口髭を生やしているが、どこか品がある。  その男は白で縁取りされた黒の洋服を身につけている。T社のユニフォームだ。  この大陸での機兵生産は四社が大部分を占めており、T社、H社、N社、M社がそれに当たる。中でも一番権力を持っている企業がT社になる。 「私は今回の賭け試合を主催させて頂いているT社西海地区担当のベルガと申します。ロン・スーン様の席を用意させて頂いておりますので、こちらへどうぞ」  企業にとっては賭け試合も製品の売り込みの場であり、賭け試合を主催する事もある。また、腕の良い機手は企業と契約を結び、賭け試合や各国へのデモンストレーションも行っていた。 「いつも有難う」  ロンは軽く笑顔で答えた。  
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!