第2話

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ベルガが連れて来てくれたのは試合場から二十メートルぐらい離して設置してある木製の観戦スタンドだ。  試合場は一辺が百五十メートルの正方形でロープが張られているだけのもので、スタンドはその一辺に設けられていた。  他の3辺にはスタンドは設けられておらず、多くの人がロープ越しに立って試合を観戦している。  俺たちはスタンドの最善列に招待され席についた。  周りは貴族らしい鮮やかな服を纏っている人達ばかりだ。  俺とロンはリリアを挟むようにして席に着いた。  リリアに何かあってはリリアの父親に殺される。  ほんと、怖いんだぜ。 「では、これで私は失礼します。楽しいお時間をお過ごしください」  ベルガは軽く会釈をして去っていった。 「よかったな。なんとか間に合った」 「俺のせいで遅れてすまなかったな」 「気にするな」  今日の賭け試合は五試合が行われる予定で、既に四試合が消化されていた。  突然、大きな歓声が沸いた。これからメインイベントが始まる。  試合場の右にある入場口からは紫色の機兵が現れた。大きさは十二、三メートルで鎧の装甲が厚い、重機兵と呼ばれるタイプだ。  この手の機兵は機動力が低いが、装甲が厚く、パワーがある。  戦などでは先頭に立って戦うタイプだ。兜には荒れ狂う牡牛が刻印されている。  紫の重機兵(荒れ狂う牡牛)は右手で幅広な大剣の柄を掴むと腰から一気に抜き、一振り。  観客から拍手が沸く。  T社製のオーブという名で販売されている機兵の改造版だ。  今度は左の入場口から蒼き機兵が入場して来た。  蒼き機兵の下半身は馬のような四本の脚が付いている。人馬タイプの機兵だ。額に暴れ馬が刻印された兜には頂点と側面に黄色の円錐の角が付いている。  装備は右手に槍を持ち、左手には円形の盾を持つ。  蒼き人馬機兵(暴れ馬)は槍をクルクルと回転させて、突きを数回繰り出す。かなり速く鋭い。
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