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ここに集結した理由は叛乱を鎮圧する為だった。
星州の領主が軍を率いて遠征してきたのだ。
名は龍延と言う。歳は二十六歳。四年前に亡くなった父に代わり星州の領主となった。
叛乱軍の機兵数は約三百機。それに対し、龍延が率いる機兵は百機。
両軍は三里(約一・二キロメートル)の距離をとって睨みあっていた。
日が傾きつつある。
龍延軍の先頭には青龍刀を持った紅い機兵と矛を持つ紫の機兵が立っている。
紅い機兵の兜の額には不死鳥が刻印されおり、面覆いにある縦のスリットから鋭い眼光が放たれている。
紅い機兵の肩に鎧を纏った男が立ち、遠くに隊列を組んだ敵を見ていた。
男の背は高く、筋肉隆々。すっきりした顔立ち。その容貌から異性に人気がある事は容易に推測できる。
「龍延様、機兵の肩に乗るのは危ないですよ。足でも滑らしたらどうするんですか?」
紫の機兵の腹部から身を乗り出した男が言い、そして微笑む。長髪で色白だ。女性と見間違えるような美しい顔をしている。歳は龍延とかわらない。
「大丈夫だ。稜周は心配症だな」
龍延にとって稜周は親友であり、信頼のおける軍師である。
叛乱軍三百機に対して百機で対峙させる事を進言したのも稜周だ。
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