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「ほら、しっかりしろって……」
ふらつく身体を、虹原岳に支えられながら歩く。
あれから1時間くらい横になっていたけど、もともとお酒にはあまり強くないせいか、酔いが醒める気配はなかった。
里中さんは終電に間に合わないことを心配してくれたけど、主催である以上途中で帰りづらい状況から、この人がついてきてくれることになった。
少し抵抗があったけど、情けないことに今日ばかりは誰かの手を借りないと帰れる自信がなかった。
「す、すみません……」
しっかり立とうと思うのに、そうすればそうするほどふらつく。
気分の悪さは寝ていた時よりもマシだけど、独特の浮遊感はさっきより酷いかも知れない。虹原岳に言わせれば、眩暈がしないなら確実にさっきよりはマシらしいけど。
虹原岳は、呆れたように溜め息をつく。
「ふんばろうとしないでいいから、ほら」
「きゃ……!」
グイ、と抱えるように引き寄せられた。
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