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「もたれて歩いた方がラクだろうが」
「で、でも……」
「遠慮すんなって。お前みたいなガキ相手に変な気起こしたりしないから」
「ガキ……」
酔って思考すら定まらない頭を、ガンと殴られたような気分になる。
そりゃあ、あたしは色気のあるタイプには程遠いかも知れないけど、年頃の女の子にそれはないだろう……。
「あたし、もうハタチです……!」
「5つも下なら、充分ガキだよ」
クスッと笑って、虹原岳はあたしがつまずかないようにしてくれる。
「お、女の子の方が精神的には成長するもんなんですから!」
「そりゃ、思春期の話だろーが」
むっとして口唇を尖らせると、虹原岳はあたしの顔を見て笑った。
すると、虹原岳は曲がり角で一旦立ち止まる。彼につられて、あたしも立ち止まった。
その瞬間、彼の表情が止まる。
「……と、失礼」
「え?」
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