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「ああいうのは、男同士の牽制だから」
「け、ん、せい……?」
「『この後、この女ヤるから』って意味」
「……!?」
あてつけにも程がある。
立花先輩が虹原岳の言葉をどう取ったかは判らない。けれどあのひとは確かに一瞬面白くなさそうな声を出した。
……自分から、別れようって言ったくせに。
あたしが他の人と……と思ったら、面白くなかったんだろうか。そうしてもやっとしたところにあたしが虹原岳とキスしてるところを見たら──。
……どうしよう、ちょっとだけ気分がいいかも知れない。
「に、虹原さん……あなた、何なんですか……?」
「うん?」
ワンピースの開いた胸元から覗く鎖骨を指先で往復させるようになぞりながら、虹原岳はとろんとした瞳であたしを見下ろした。
鎖骨をなぞる指先が布地の下に滑り込んで、ブラストラップを軽く弾く。
「……!」
「何って、何?」
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