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「せー兄ちゃん……」
明け方近くに部屋に戻ってきて、呆然とした。
静脈判定の筈のあたしの部屋に、なんでせー兄ちゃんがいるのだろう。
せー兄ちゃんはあたしが帰ってきたことには気付かず、ソファーで呑気に寝入っている。
……今は眠っているからいいけど、起きたら何を言われるか判らない……。
それを考えて、あたしは戦慄した。
せー兄ちゃんは、13歳上のあたしの兄だ。
お父さんに最初の奥さんがいた時、付き合っていた女性が産んだのが、せー兄ちゃん。
お父さんは今でこそ奥さんの尻に敷かれて大人しいもんだけど、若い時はそうして腰の落ち着かない人だったらしい。
でも、仕事ができてお金を持っている男の人は、みんなそういうものかも知れない。何となくだけど、そう思う。
まあ、今の奥さんが3人目というあたり、落ち着いたとは言いがたいかもしれないけど。
あたしのお母さんは、お父さんの2人目の奥さん。せー兄ちゃんとは腹違い、ということだ。
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