バカみたい

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 せー兄ちゃんが起きないようにこっそりソファーを横切って、寝室に向かった。  すると。 「待て。この放蕩娘」  ひどく低い声が響いて、ギクッとした。  コマ送りのようにギリギリ……と振り返ると、せー兄ちゃんの鋭い切れ長の瞳があたしを睨みつけていた。 「今、何時だと思ってる」 「……4時半」 「朝方のな」 「……」 「佐々木から連絡があった。てっぺんを回ってもお前が帰ってきてないって」  げ。  なんでお父さんの秘書があたしの行動を……なんていうのは愚問だった。だって、佐々木さんもこのマンションの下の方に住んでいる。  そうして抱えている部下の数は、お父さんの凄さを物語っているわけだけど。 .
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