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はい、としか返事のしようがなかった。
それくらい、今の虹原さんの声には拘束力があった。名前を呼ばれただけなのに、檻の中に放り込まれたみたいな気持ちになった。
ホントにこのひと、何だろう……。
「けじめ、つけたいだろ? なら華緒梨から言って」
「けじ、め……?」
「俺は別に、何だっていいけど。捕まえたら逃がすわけないし、華緒梨みたいなツンデレくさいの、腕が鳴るし」
「ツンデレくさい、って……」
「でも、だからこそ言わせたい……」
「……」
「ていうか、言って欲しいだけ」
虹原さんはニッと笑って、あたしの口唇にチュッと口付ける。
その軽いキスに、あまりにも愛を感じてしまって……。
「虹原さん……」
「うん?」
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