彼の筋書き。

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「……好きです……」  言ってしまった……あっさりと。  具体的に、何て言おうか考えていたわけじゃない。なのに今、ものすごく自然に言葉が出た。  虹原さんは一瞬、キョトンとした。そりゃそうだ。あたしだって、こんなつもりじゃ……。 「……華緒梨」 「はい……」 「ごめん」 「え?」 「今日、普通にプールバーで里中さんとお前らを待ってたんだよな」 「……? うん」 「そしたらアイツも打ちに来てて……恥ずかしい話、アイツとは結構長くて。華緒梨が現れたからってすぐ切れなくて」 「……最低……」 「ごめん……」  堰を切ったように話し始めた虹原さんの態度がおかしくて、笑ってしまいそうになった。 .
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