彼の筋書き。

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 判っている。  その説明を求めたのは、あたしだ。  だけど──自分で訊いておいて、こうして聞かされると、やっぱり少し気分が悪い。 「そろそろ約束の時間だし、やばいとは思った」 「……じゃあ、なんでやめなかったの」 「華緒梨、俺がスケベ心起こしてアイツと寝ようとしてたって思ってる?」 「それ以外、何があるの? 最後って言われたんでしょ?」 「やる気は、なかったよ」 「じゃあ、何なの。虹原さん、あの人の身体しっかり抱いてたじゃない!」 「気に入らない?」 「当たり前でしょ!」  もう抑えることのできない怒りを口からほとばしらせると、彼はクッと低く笑って、あたしを床の上にゆっくりと下ろし立たせた。 .
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