垣間見るもの。

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 思わず閉口する。  だって。  せー兄ちゃんの言いたいことは判るけどもさ。  せー兄ちゃんとお父さんのところで働いてる人がたくさんいるのは、あたしだって判ってる。でも、せー兄ちゃんとお父さんが顔を認識してる社員や従業員なんて、ほんの一握りの筈で。 「……社員や従業員の全員が、ウチの家族把握してるわけじゃないじゃない」 「まあ、そりゃな」 「そんな、スパイみたいな」 「人聞きの悪いこと言うな。お前のことを心配してるのは俺や親父だけじゃない、ってことだよ」 「……? どういうこと?」  せー兄ちゃんはもぐもぐと肉を咀嚼して、ゆっくり飲み下し水まで含んでから再び口を開いた。 .
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