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「な、なんかまずい、の……？」
岳さんがなんで怒り出したのか本気で判らなくて、知ったかぶりをするよりはマシな筈だと思い、訊き返した。
すると、岳さんの瞳がたっぷりと苛立ちをはらんだままで止まる。
「……華緒梨、お前、いくつだっけ」
「は……ハタチ、だけど……」
岳さんの尖った瞳はしばらくそのままあたしを睨んで──。
やがて、その瞳からふっと緊張が解けた。そして、「……ハタチじゃ、判んねえか……」と、心底残念そうに言ったのだった。
考えてみたら、あたしと岳さんは５歳も違う。
……ひょっとしたら、こうして今みたいに「若いから」っておとな達に許されていたことがあったりするのだろうか。
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