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「上の空ね……」
呆れたような声と、バサリと軽く原稿を机に叩きつける音がした。その声と音で、ハッと我に返る。
顔を上げると、そこにはジト目でこちらを見る織部さんの顔があった。
まずい。今、打ち合わせ中だった……。
俺の顔が引きつったのを見て、織部さんは溜め息をつく。
「す、すみません……」
昔、辛辣にこき下ろされた時のことがトラウマになっているのか何なのか、このひとの前ではいつものようにいかない。
ぺこっと頭を下げると、彼女は眉尻を下げてクスッと笑った。
「私、この間……言ったっけね」
「はい?」
「面白い作家さんのプライベートには、ある程度首を突っ込む、って」
「……はあ」
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