絡んだ指がほどけて。

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 佐々木さんはあっという間にあたしを迎えに来た。  駅近くの公園……と言っただけなのに、ちゃんとここだと判っている様子で。有能が過ぎると、あたしみたいな一般人からすればちょっと怖い。 「よかった。いつもの華緒梨お嬢さんですね」  佐々木さんは車を降りるなり、あたしの顔を見てそう言った。 「いつもの……って、何も変わりないです、けど」  さらっと流そうとした瞬間、さっきの佐々木さんとのやり取りが頭をよぎった。 『詳しいお話は後ほど』  有無を言わせない佐々木さんの声。  まさか、佐々木さんももうあのことを知ってたりするの──?  条件反射的に笑顔を返しながら、そこに思考が行き着いて思わずそのまま固まった。 .
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