275人が本棚に入れています
本棚に追加
/35ページ
佐々木さんはあっという間にあたしを迎えに来た。
駅近くの公園……と言っただけなのに、ちゃんとここだと判っている様子で。有能が過ぎると、あたしみたいな一般人からすればちょっと怖い。
「よかった。いつもの華緒梨お嬢さんですね」
佐々木さんは車を降りるなり、あたしの顔を見てそう言った。
「いつもの……って、何も変わりないです、けど」
さらっと流そうとした瞬間、さっきの佐々木さんとのやり取りが頭をよぎった。
『詳しいお話は後ほど』
有無を言わせない佐々木さんの声。
まさか、佐々木さんももうあのことを知ってたりするの──?
条件反射的に笑顔を返しながら、そこに思考が行き着いて思わずそのまま固まった。
.
最初のコメントを投稿しよう!