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「ごまかしても仕方がないので、単刀直入に言いますね」
車を発進させてすぐ、佐々木さんはハンドルを切りながら口を開いた。
てっきり何か前置きがあってから話が始まるんだろうと思っていたから、少し驚いた。
「な……なんですか?」
暑いところから急に涼しい車内に座ったせいで、少し腕に鳥肌が立った。
佐々木さんの横顔を見つめながら、ゴクリと息を呑む。
「虹原岳さんのことです」
ピシッ、と。
空気をひと太刀で切ってしまったような声だった。
とはいえそれはただの比喩で、自分がそうされたわけでもないのに、あたしはビクッと身を竦めてしまう。
運転しながら佐々木さんはあたしの様子が視界に入ったらしく、クッと小さく笑った。
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