戻らない時間の中で。

3/33
285人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「華緒梨ちゃん、その言い方はないんじゃないの。俺、一応めっちゃオトナなんだけど」 「自分で言っちゃう辺りが、そう見えないですよ。鳶島さん、童顔だし……」 「あのね……」 「あたし、それどころじゃないんですよ。佐々木さんに電話、持って行かれちゃって……」 「それね、悪く思わないで。俺が頼んだの」  まったく悪びれない鳶島さんの声と言葉に、身体が固まった。 「それ、どういうことですか?」 「ササキングに華緒梨ちゃんのカレシの話したの、俺だもん」  ササキング、とは鳶島さんいわく佐々木さんのことで……。  鳶島さんなら、夜の街のことやこの界隈のことに異常に詳しくてもおかしくない。岳さんと並んで歩いていたあたしを見た、という話だって、簡単に耳に入るかも知れない。 .
/33ページ

最初のコメントを投稿しよう!