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「華緒梨ちゃん、その言い方はないんじゃないの。俺、一応めっちゃオトナなんだけど」
「自分で言っちゃう辺りが、そう見えないですよ。鳶島さん、童顔だし……」
「あのね……」
「あたし、それどころじゃないんですよ。佐々木さんに電話、持って行かれちゃって……」
「それね、悪く思わないで。俺が頼んだの」
まったく悪びれない鳶島さんの声と言葉に、身体が固まった。
「それ、どういうことですか?」
「ササキングに華緒梨ちゃんのカレシの話したの、俺だもん」
ササキング、とは鳶島さんいわく佐々木さんのことで……。
鳶島さんなら、夜の街のことやこの界隈のことに異常に詳しくてもおかしくない。岳さんと並んで歩いていたあたしを見た、という話だって、簡単に耳に入るかも知れない。
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