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難しいこととか、ややこしいこととか、そんなの知らない。そばにいて欲しい。優しく頭を撫でて欲しい。抱っこして欲しい。
それだけで、もう何もいらないのにな……。
はあ、と小さく溜め息をついた。
すると、足元に落ちたバッグの中からコトッと携帯が滑るように出てきた。液晶の面が下になっていたから、慌てて拾い上げる。
チカチカと点滅する携帯は、気付かない間に着信があったことを知らせていた。画面をスライドして見ると、着信があったのはメールだったようだ。
ゆりからのメール。
開くと、そこにはこう書いてあった。
「【文芸葦原】の例のミーティング、10日後にしてもらった」──と。
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