世界のまんなかに行きたい。

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 思わず、ポソリとそう口をついて出た。  いつもなら思ってもそんなこと言わないけど、今のあたしは募った恋心の行き場がなくて、少し攻撃的になっているのかも知れない。  すると、鳶島さんは今にも泣きそうな顔をして視線をそらした。 「や、だって。それはもうササキングがさぁ……」 「人のせいにしないの。鷹くんをけしかけたのはあなたでしょ」  香苗さんが揃えていた手をすっと上げ、鳶島さんの頭上から軽くチョップする。 「いでっ!」 「昔からあなたは考えが足りないのよ。いい加減、奥さんに苦労かけるのはやめなさい」 「考えてやってるのに怒られるんですけど、どうしたらいいですか」 「じゃあ、毎日決まったことだけすればいいんじゃないの。あたしに訊かないでちょうだい」 「香苗さーん」 .
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