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待て。話がうますぎやしないか。
目を丸くして唖然としていると、コンコンとこの会議室のドアがノックされた。
「どうぞー」
織部さんの返事で、ドアが遠慮がちに開けられる。
そこから顔を覗かせたのは、40代にさしかかったくらいかな……という男性だった。
「自分が来ないで俺を呼びつけるとはいい度胸だな、織部」
煙草を咥えたままニヤッとニヒルに笑ったその男を見上げてから、どうしたらいいのかと織部さんの顔を見た。
すると彼女は今日一番の笑顔を見せ、今入ってきた男性を示してみせる。
「こちら、主に文庫を扱っている第2編集部の翠川さん」
翠川さんは俺の顔を見るなり、「おっ」と表情を変える。
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