夢のままでは続かない。

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「誰かと思えば、今一番話題になってる方じゃないか」 「あ、に、虹原岳と申します……」  慌ててその場に立ち上がり、ぺこっと頭を下げた。  すると、翠川さんは煙草をテーブルの隅の灰皿に置き、ジャケットの内ポケットから名刺を取り出して俺に差し出した。 「どうも。第2編集部を切り盛りしてます。翠川宗介(ミドリカワ ソウスケ)です」  ニヤッと笑ったその感じが、どうにも神保さんとよく似ている。  あの人と同じ種類の男だ──と悟った瞬間、俺はこの仕事が一筋縄ではいかないことも同時に悟っていた。 .
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