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身体によくない、って。一体どういう理屈なんだろう。
どう説明したものか、と思わず苦笑してしまう。そのまま華緒梨の手を取り立ち上がった。
「え? な、何?」
「今さ、華緒梨にどう説明したものかってちょっと考えてたんだけど」
「うん?」
話しながら、カフェの会計を済ませる。いつもは「あたしが払う」なんて押し問答になるのだが、幸い今の彼女の頭の中は違うことでいっぱいだ。
しめしめと思いつつさっさとカフェを出て、彼女の手を引いて青優社からも出る。
「考えてたけど、実際見せてやる方が早いかな」
「……? 判んないんだけど、何が……?」
「だから、実際に」
「が、岳さん、ちょっと!」
大雨の後少し勢いをなくした蝉時雨の中、駅に向かって駆けていった。
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