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そう思うと、こっそりと銀二に感謝したくなる。何年も付き合いがあるのに、ずっとよそよそしいままの間柄でしかないことなど、よくあることだ。
でも、それでも──ということも、たまにあるにはあるんだ。たぶん。
「今、織部さんが新規に手を広げる暇なんてないことくらい、判っているつもりです。でも、それでもこれは女性の編集さんに──織部さんに見てもらいたかった」
女性の編集さんに、という言葉で織部さんの表情がぴくりと動いた。
「女性に?」
「はい。俺の知り合い、男性ばかりなんで」
……心も身体も両方女性、という人がいない……という意味で。
悪い、銀二。
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