岳の回想録。

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   母さんは近くのレストランで時間を潰すと言っていた。  いい歳して母さんと一緒にじっと待ってるのも気恥ずかしくて、俺は別で時間を潰すと言って出てきたものの、こうして雨が降っているのを見るとそう遠くには行けないじゃないか、と思ってしまう。  いつも通りどこかでハンバーガーでも買って……と思っていたのに、どうしたものか。  さし当たって2時間相手にしてくれる人間も、今はいない。  さっき、葬儀には秋人が来てくれていた。でも、担任がクラスの連中をぞろぞろと連れてきただけなので、やつはもうとっくに学校に戻っている筈だ。  また母さんのところに戻るのも何となくかっこ悪い気がして、ハーと溜め息をついた。  近くにコンビニでもあったっけな、と斎場の正面口からそのまま見える駐車場に目をやる。 .
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