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華緒梨の手からカラン、とスプーンが落ちる。
「何してんの。そんな、びっくりするようなこと言ってないだろ」
「え、だ、だって、見返りとか、そんなの……」
「好き、ってだけで男と女の関係が続くとか思ってる?」
驚いたようなので、わざときわどい言い方をしてやった。
すると案の定、華緒梨の表情が見る見るうちに不安でいっぱいになる。
だからといって、別に面白がっているわけじゃない。俺はどっちかって言うとSっ気が強い方だとは思うが、いじめっ子でもなければ鬼畜野郎でもない。
わざと華緒梨をこうして揺らして、彼女の表情が曇るのを見れば、やっぱりそれなりに胸は痛むわけで。
じゃあどうしてやるんだと訊かれたら、やっぱり楽しいからなんだけど。
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