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「ん……」
恥ずかしそうに身じろぎする華緒梨を見ながら、息苦しくてそっと溜め息をつく。
女の身体に触れば、嫌でも興奮するのが男の悲しい性だが、この反応はそうした習性からはかけ離れている現象だと、俺は思う。
腹の下の方に、昏い衝動がぐらぐらと動く。
が、胸から上は全然違う衝動が突き上げる。
この、身体が上下に引き裂かれそうな感じはそうそう味わえるものじゃない。色んな女と接してきたからこそ、よけいそう思う。
胸のど真ん中から、熱い塊が溢れ出しそうな勢いで上がってきて、喉まで締め付けてくるんだ。
苦しいのに、心地いい。言い切ってしまうなら、これは幸せな息苦しさだ。
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