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華緒梨は再びグラスを掴んだ。どうやら、落ち着く為に無意識にそうしているらしい。
どうせ緊張をほぐす為ならやわらかいものを触っていた方がいい筈だ、と手を伸ばして華緒梨の手を包んだ。
「あの……ね。あたし、この間からずっとそんなこと考えてて……」
「そんなこと?」
「あたし、料理できないの」
「……?」
それは、何となく判っている。
料理ではないがエスプレッソを淹れるのも下手だったし、目玉焼き以外のメシのおかずをまだ見たことがない。
その目玉焼きだって、いつも目玉がしっかり潰れてるし……。
でも、華緒梨くらいの女の子ならそんなもんじゃないのかな、と思う。できるに越したことはないが、今の時代の女はそればかりが価値じゃないと思うし。
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