同じ未来を描いてみたい。

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  「してないよ。人と話をする時は目を見て、って今まで教わらなかった?」 「そ、それはそう、なんだけど」  華緒梨の目が、うろうろと泳ぎ出す。カフェの中の他の客の視線が気になるんだろう。  それは、俺だってそうだ。さっきからちらちらとこっちを見て通り過ぎるやつが何人かいることには、ちゃんと気付いている。  たぶん原因は俺で、「なんか見たことあるけど、誰だろう」という感じなんだろう。  中途半端な知名度を目の当たりにして、自分はやはり芸能人ではないのだと少しホッとする部分もあるのだが。  ふっ、と華緒梨の口唇に軽く息を吹きかける。また、俺にしか判らない程度にビクリと反応した。 「岳さん」 「なんて。言わないと、みんな見てる前でキスする」 「ウソ……!」 .
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