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言いながらかぶりを振ろうとするだけで、華緒梨は俺から逃げようとはしない。
さっきからいっぱいいっぱいなのも手伝って、もしかしたらその発想自体なくなってしまっているのかも知れない。
……面白い。
やっぱり違う意味でもこの状況を楽しんでしまう。
自分がいかに快楽主義なのか、ということを自覚してしまった。
その被害に遭っている華緒梨には申し訳ないが、現実を変える力があるのは他ならぬ自分自身なんだ、ということを少し実感して欲しかった。
……こじつけもいいところだ。
自分の中の屁理屈に吹き出しそうになるのを堪えながら、俺は華緒梨の瞳を煽るように見つめる。
華緒梨の瞳が、熱っぽく揺れた。
どうやらこの状況は、彼女にとって満更でもないようだ。
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