同じ未来を描いてみたい。

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   華緒梨はこういう時、どうも少し引っ込み思案な気がする。  もう少しはしゃいで押し付けてきてくれても、俺は一向に構わないんだけど。 「判った、もらう」  出しかけていた煙草をケースの中に戻し、ゆっくりと身体を起こすと、華緒梨はぱあっと笑顔になった。  ……可愛いな、おい。  華緒梨が初めて淹れたエスプレッソは──。  予想はしていたが、惨敗。  一口飲んで、あまりの苦さに思わず笑ってしまった。  コーヒー通というわけではない俺でも、マシンをうまく使わないとまずいものが出来上がる、ということくらいは知っている。  だからもらったものの、使わずに置いたままにしていたのだが。正直、どこで誰にもらったのかも忘れた。 .
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