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華緒梨は、「せっかくカッコイイ朝になるかと思ったのに……」としょんぼりしている。
別にエスプレッソをうまく淹れられないくらいでそう落ち込むこともないと思うのだが、何だか可哀想になってきて、笑いながら華緒梨のカップに砂糖を入れ、ついでに牛乳もどぼどぼと注いでやった。
「えっ、え!?」
「エスプレッソは好きに飲んだらいいんだよ。ブラックでないと、なんてのはしょーもない思い込み」
「そうなの……?」
「コーヒーなら、ブラックでいいと思うけど。別のものって考えた方がいい」
自分のカップには砂糖は入れずに、牛乳を少し入れた。そのままもう一口飲むと、まろやかになって飲みやすくなっている。
「いつもブラック飲んでるから、とか言ってやせ我慢してエスプレッソに何も入れないで飲んでるやついるけど、ああいうのはかっこ悪い。ちょっと砂糖入った方がどう考えてもうまいよ」
「そうなんだ……」
「人による。何事も」
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