同じ未来を描いてみたい。

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   フフ、とはにかんだように笑って、華緒梨はおそるおそるカップに口を付けた。 「……ん、さっきより飲みやすい」 「華緒梨はどう考えてもカフェオレ派だもんな」 「う……それ、あたしが子どもってこと?」 「コーヒーの味が判るような歳でもないだろ。バリスタ英才教育受けてるわけでなし」 「バリスタ? って、何?」  カップを両手で持ったまま、華緒梨は小首を傾げる。  ……それすら知らずにエスプレッソを淹れようとしてたのか。  ハタチという年齢の強みまで見せ付けられて、俺はとうとうその場で大笑いしてしまった。  頬を膨らませてぶすける華緒梨を見ながら、エスプレッソの失敗にしてはうまく焼けている目玉焼きをつつく。  この娘を嫁さんにしたら、毎朝こんな和むやりとりができるのか……。  とか、妄想しながら。 .
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