312人が本棚に入れています
本棚に追加
フフ、とはにかんだように笑って、華緒梨はおそるおそるカップに口を付けた。
「……ん、さっきより飲みやすい」
「華緒梨はどう考えてもカフェオレ派だもんな」
「う……それ、あたしが子どもってこと?」
「コーヒーの味が判るような歳でもないだろ。バリスタ英才教育受けてるわけでなし」
「バリスタ? って、何?」
カップを両手で持ったまま、華緒梨は小首を傾げる。
……それすら知らずにエスプレッソを淹れようとしてたのか。
ハタチという年齢の強みまで見せ付けられて、俺はとうとうその場で大笑いしてしまった。
頬を膨らませてぶすける華緒梨を見ながら、エスプレッソの失敗にしてはうまく焼けている目玉焼きをつつく。
この娘を嫁さんにしたら、毎朝こんな和むやりとりができるのか……。
とか、妄想しながら。
.
最初のコメントを投稿しよう!