同じ未来を描いてみたい。

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   日本の夏は、盆を境にガラリと雰囲気が変わる。  銀二も織部さんも、この週末はさすがに休みだと聞いている。  何か相談があれば遠慮なく連絡をくれ、と言われてはいるが、会社員にそういう野暮なことを強いるつもりはなかった。  自分のマンションに帰りたがらない華緒梨を連れて、映画を観に行った。  観たのは話題になっているアクションコメディ。正直、俺も華緒梨も「2人で映画」というシチュエーションなら何でもよかった。  途中、主人公とその恋人のちょっと切ないシーンがあって、無意識だろうが華緒梨がスクリーンを凝視しながら俺の手を握ってきた時はキュンとした。  そんなこんなで、普通の男女交際というものを思い出す。  昼間に女の子と出歩くのは学生の頃以来で、自分がいかにただれた生活をしてたかをこっそりと反省したりした。 .
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