猛禽類の瞳。

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  「俺は、昼の世界は向いてないんだ」  ──……。  何だ、今の言葉。すごくしっくり来るような。  瑠奈さんがスルッと袂からライターを取り出し、鷹羽聖夜の咥える煙草の先に火を点ける。  カシンという音で、瑠奈さんが持っているのはジッポなのだと気付いた。  ……超セレブの和服美女も、ジッポとか持つのか……。  勝手に親近感を抱いて、妙な高揚感を得た。すると、鷹羽聖夜はふうと白い煙を吐きながらサイドテーブルの電話の受話器を上げる。  ピッピッ、と何か操作をしただけで、そのまま受話器を置いてしまう。 「俺には、裏方で動いてる方が合ってる」  ニヤ……と微笑む鷹羽聖夜。その隙のない風体は、やはり華緒梨とは似ても似つかない──咄嗟にそう考えてしまうが、でも、違う角度から考えると納得できないこともない。 .
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