ただならぬ。

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   岳さんの肩に頭を押し付け、そのまま笑い続けてしまう。 「おい、華緒梨……」 「ごめ……っ、でも、あはは……っ!」 「お前ね……」  呆れたように肩を竦めてしまった岳さんのそばで、ようやく収まった笑いを溜め息で終わらせた。 「す、すみません……」 「いや、何が面白かったのかは判らないけど、楽しかったならよかった」  翠川さんはまたニコッと笑って、虹原さんに本を開いて見せながら「ここにお願いします」なんて注文をしている。  またそれに笑ってしまいそうになりながら、岳さんが渋い顔をして一冊一冊サインしていくのを見ていた。 「名前、なんて入れたらいいですか」 「ああ、すみません。“ヒデオくんへ”って入れてやって下さい」 「娘さんのダンナさん、俺より年下ですか?」 .
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