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岳さんの言ったことをあたしが全部理解できているかどうかは判らないけれど、言われてみれば男の人って社会で戦っているものだと思うし、そこから退こうと思っているような感じが翠川さんにはない。
新しい価値観と視界が拓けた気がして、胸の中に新しい風とか水とか……そういうものが流れ込んできた気がした。
やっぱりまだまだ子どもなんだなぁ、あたし。
卑屈とは違う気持ちで、そういう話が当たり前に出来る岳さんをすごいと思った。
こんな人についていくんだ、あたしは……。
岳さんの横顔を見ながら、心の奥でもう一度彼に堕ちるような音がした気がした。
すると、「ありがとうございます」と言いながら本をカバンにしまい、翠川さんはすっきりとした表情で岳さんを見る。
「面白かったんで、僕もショートカットで話をしようかな」
「え?」
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