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そんなものをくんかくんか嗅がれているのかと思うと、恥ずかしすぎて頬から耳まで一気に熱くなってしまう。
「こら、逃げようとすんな。いいニオイだって、褒めてるだろ」
「だ、だって。ちゃんと洗ってるのに、そんな」
「そうじゃないよ。どんなイケメンでも美人でも、合わないヤツは臭く感じるもんなんだってさ」
「そ、うなの?」
「華緒梨からしたらどうなの」
「え?」
岳さんはその体勢のままあたしの頭を抱えるようにして固定する。
「俺のニオイ、やじゃない?」
「わ、判んないよそんなの……」
「じゃあ、ほら。俺ばっか嗅いでるの、不公平じゃん」
「~~~ッ」
何で普通のテンションでそんなこと言えるんだろう……。
恥ずかしさで、頭の中がチカチカしてよく判んない。
でも、判んないなりにクン……と深く息を吸ってみる。
「……」
「華緒梨?」
一瞬、返事をするのを忘れていた。
ニオイ、っていう程、形容できるニオイじゃないんだけど……。
フワッて、頭の中に眠気がやってくるような。思わず、フニャッと身体の力が抜けた。
すると、岳さんがクスッと笑う。
「何、それ」
「わ、判んない……でも、なんか……」
「気分よくなる感じ?」
コクン、と黙ったまま頷いた。
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