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ずっと、勝手なヒロインの孤独な話だったのに、終盤は恋人に飼い慣らされて、吐きそうなくらい甘く終わったからな、あれ。
──ひとりで読んでたから、ヒロインに置いてけぼりにされたみたいで、なんか寂しくなったんだろ?
判ってるけど、そこにすぐには触れてやらない。
いつも従順で可愛い仕草の華緒梨が、頑なになる瞬間。それが、けっこう堪らないから。
抱きしめるだけで甘やかして、そういうゆったりとした楽しみを今日は味わおうって思ってたのに。
こうして煽ってくるのは、いつも女の方だ。
なんでそんなに上手に揺さぶってくるんだろう。
泣いてるのも、ちょっとイラついてるのも、抱きしめてくれって甘えてくるのも、全部俺の書いたものの──俺のせいだとは、思うけど。
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