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その顔が涙でグシャグシャになっていて、驚いて立ち上がる。
「何泣いてんの、お前」
慌てて原稿を取り上げ、テーブルの上に置く。
そのまま華緒梨の顔を覗き込んで、親指で涙の筋をそっと拭ってやる。
らしくなくオロオロしている自分をどうしたらいいかも判らなくて、俺が触れた瞬間また壊れたらしい涙腺が次から次へと溢れ出させる涙を拭うが、追いつかない。
「ああ、もう」
「うー……」
嗚咽すら漏らすことが出来ないくらいの号泣って。どんなだよ。
最近夜は冷えるから、フリースの薄いパーカーを羽織っているから、その袖で涙を吸ってやった方がいいのかも知れないが。
なんかムラッときて目元に口唇を寄せ、舌でぺろっと舐め取る。
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